機械式時計の購入に不安がある人へ
時計が好きになりはじめると気になるのが「機械式時計」ですよね。
機械式時計は”一生モノ”や”味わい深い”などと良く言われ、時計初心者なら誰でもあこがれると思います。
でも、
「毎日時間がズレる」や「オーバーホールが必要」など、何か面倒な感じがして不安になっている人も多いと思います。
確かに電池式時計やソーラータイプより手間がかかるのは間違いありません。しかし機械式時計は大きな満足感と独特の雰囲気があるので、ぜひ楽しんで欲しいです。
今回は初めて機械式時計を買おうとしている人へ「日差・止まり・注意すること」をご紹介します。
最後に私が感じた機械式時計の使用感などもお話しします。
「日差と止まり」について
機械式時計を初めて使うときに気になりやすいのが「日差と止まり」です。
ゼンマイで動く時計ならではのことですが、カタログのスペックだけでは分からない実際の使用感をお話しします。
日差とは?
時計用語として出てくる日差とは「1日の進み・遅れの度合いを表す用語」です。主に機械式時計の精度を表すためにカタログなどに記載されています。
一例:日差+25秒~-15秒「一日で25秒進んだり15秒遅れる場合があるという意味」
*この日差というのは基準値という意味合いもあり、使用環境や着用時間によりそれ以上になる場合もあります。
日差は使用環境でも大きく差が出ます
この日差はその時計を着ける人の運動量や使用環境・着用時間などで大きく差が出ます。
例えば、同じムーブメントの腕時計でもあまり動かないデスクワークの人と、運動量が多い仕事の人では同じ時間着けていても日差に差が出るでしょう。
それはゼンマイの巻上量に差が出るからです。
ゼンマイは巻上量が少なくなるとトルク(パワー)が弱くなります。
機械式時計では安定した精度を得るためにはある十分なゼンマイの巻上量が必要なのです。
また、季節や温度により日差にも変化が出てきます。
理由は機械部品が温度により伸び縮みすることで精度が変わるからです。一般的に温度が高いと遅れやすく、温度が低いと進みやすいと言われています。
なので日本のような寒暖の差が激しい環境ではカタログ数値の日差以上に遅れや進みが出る場合があります。
精度のアレコレ
機械式時計の精度が変わる代表的な要因をご紹介します。
- 時計を使う環境
- 着ける人、着ける時間
- 季節など温度変化
このような要因で精度が変わったりします。
この精度に関することを知っていれば、購入後の疑問や心配はかなり少なくなるでしょう。
詳しくは、下記のSEIKOホームページで解説されています。
参照サイト→「SEIKOサポートページ「機械式時計の精度」」
2日間ほど着けないと止まる
これも機械式時計ならではですが、多くの時計は巻上持続時間(時計が動ける時間)は約48時間前後です。
なので2日間ほど外しておくと時計が止まってしまいます。
そして、そのたびにゼンマイを巻き上げて時刻合わせをしないといけません。
これが機械式時計の味わいと考えるか、不完全な機械と考えるかで大きくイメージが変わってきます。
あまり調べずに機械式時計を購入した場合は面倒だと感じてしまうかもしれません。とくに手巻き機構が付いていない時計は振って巻き上げる必要がありやや面倒です。
しかし、購入する前に知っていればあまり気にならないと思います。
*最近は巻上持続時間が約80時間という長いモデルも多くなっています。
止まりを防ぐ「ワインディングマシーン」
止まりを防ぐためには「ワインディングマシーン」を購入するのがおすすめです。
これは自動巻きの機械式時計を自動的に巻き上げてくれる機械です。
最近のワインディングマシーンは保管庫としての役割も大きく、ちょっとしたインテリアとしても使える綺麗なデザインの商品が増えています。
▼おすすめワインディングマシーン
機械式時計で注意すること
何気なく使っている腕時計ですが、注意して欲しいポイントがあるのでご紹介します。
ショックと磁気には注意が必要
機械式時計だけでは無いのですが、野球やゴルフなどの強い衝撃がかかるスポーツをする時は外しておきましょう。
また、落下させたりぶつけたりした衝撃でも不具合の原因となる場合があるので注意してください。
そして最近一番多いトラブルの原因が磁気帯びです。
磁気帯びとは身の回りにある電化製品やモノの影響で、時計の本体やリューズの部品(巻き芯)などに磁気を帯びてしまうことです。
強い磁気を帯びると機械式時計の心臓と言われる「テンプ・ひげゼンマイ」が正常に動かなくなり進み遅れの原因になります。
また一度強い磁気帯びになると”磁気抜き”というメンテナンスをしないと精度は戻りません。
とくに注意が必要なのはバッグの磁石で留めるホックです。
最近のバックに良く使われているのですが、商品によっては内ポケットに近いモノもあり注意が必要です。
姉妹サイト「watch-mix」でも解説しています→「時計に磁気の影響はあるの?【磁気帯び】」
日付変更の時間帯について
これも時計初心者の方が失敗しやすい誤操作です。
時計の日付機構は午後の9時頃から午前4時くらいまで歯車がかみ合っているので、無理に日付を変更すると部品が壊れる可能性があります。(時計により多少の違いがあり)
機械式時計は止まることが良くあるので、頻繁に日付変更をすることになるので注意しましょう。
日付を変更する際のポイントは6時に合わせておくことです。
理由は、6時に合わせておけば午前でも午後でも操作禁止時間にはならないからです。
操作方法→時刻を6時に合わせてから日付を前日に合わせ、時間を送っていき日付と時刻を合わせる。
参照サイト→「SEIKOサポートページ「カレンダー調整方法」」
オーバーホールの必要性
このオーバーホールにも色々な意見があります。
「3年ごとにした方が良い」や「止まるまでしなくても平気」という意見まで様々です。
時計販売を長くしていた私の経験の印象では、時計が止まる・遅れるまでしない人が半数以上でした。
また定期的にオーバーホールをする人でも5年に一度くらいが多い印象です。
購入前にはオーバーホールの頻度にも不安な人がいると思いますが、私的なおすすめは5年に一度のオーバーホールで構わないと思います。
一生モノと言われるくらい耐久力のある機械式時計なので、3年に一度のオーバーホールの必要性はないでしょう。(アンティーク時計は除く)
ただし、止まるまでオーバーホールしない場合は交換部品などが増えてしまい結果的に高額になってしまう場合があるのでおすすめしません。
結納返しや思い出がある大切な腕時計は定期的にオーバーホールしましょう。
おすすめ記事→機械式時計のオーバーホールについて【初心者向け】
私的な機械式時計の使用感など
★私物の機械式時計3本です。
私は時計の販売職をしていた経験もあるので初心者的な視点とは離れてしまいますが、機械式時計の私的な使用感をお話しします。
日差や止まりに思うこと
- 秒までの精度は気にならない
- やはり止まるのは面倒
私が最初に機械式時計を購入したのは25年以上前ですが、腕時計に秒までの精度を求めていなかったので日差については気になりませんでした。
しかし2日ほどで止まってしまうのは面倒だと感じていました。
でも、もし仮に私が今現在はじめて機械式時計を買ったとしたら少しの日差が気になるかもしれません…。
理由としてはネット情報が多いので、誰かのレビューを見て自分の買った時計の精度をチェックしてしまうかもしれないからです。
それに電化製品やスマホ・パソコンなど正確な時計が当たり前になっているのも気になる原因になるかもしれません。
そして止まりについてはやはり今でも面倒だと思ってます。
その日の気分で時計を着けようとして止まっていたら「あ~もぉ~」って思っちゃいます。
でも、それくらい。
面倒と思うことはある?
何本も腕時計を持っているのですが、やはり機械式時計はどれも止まっていることが多いです。
もちろんワインディングマシーンを買えばいいだけなのですが、もう時刻わせをして着けるのが当たり前になっているので面倒だけど「そんなモノ」って感じで購入していません。
まぁ、最近の巻上持続時間80時間というスペックの時計はいいなーって思いますが、ローテーションで腕時計を着けているのでやはり止まってしまうでしょう(笑)
ワインディングマシーンは一人暮らしでおしゃれな部屋ならインテリアとしても買いたいと思うかもしれませんが、リビング=私の部屋みたいな現在ではインテイリアにもならないので買わないです…。
私的な使用感まとめ
もう長く機械式時計を愛用しているので日差というより多少の誤差さえ気にしていません。
私は一週間に一度時刻合わせをするくらいで、その時は2,3分くらいズレていることが多いです。(時刻はやや進ませて合わせています)
しかも時刻わせする時は秒針は無視して合わせます、どうせ秒針を見ないからです。
確実に言えることは「使用感は性格でまったく違う」ということです。
たぶんですが、何事も正確でないとイヤという人には機械式時計は向いていないかもしれません。
さいごにひと言だけ「機械式時計はやっぱり最高!」